旅の楽しみと言えば現地の人々との触れ合いが欠かせませんよね。言葉が通じないことは多々ありますが、通じないながらもなんとかやり取りをするのは旅の醍醐味です。観光客を騙そうする人のほとんどは英語で語りかけてきます。たまに日本語を使ってくることも。観光客相手ではない、現地の人とのやり取りの機会があると嬉しいものです。
目次
モロッコでのハプニング ②路線バスで仲良くなった人を訪ねて
メルズーカ砂漠から数時間、山脈を超えメクネスに向かう路線バスの中で隣り合わせた、英語が全く通じない現地人とのやり取りでハプニングは始まります。
利用者はほぼ現地人だったその路線バスは席は満席。私はモロッコ人の男性の隣になりました。何かのきっかけで言葉が通じない会話が始まりました。全く英語が通じないので、ガイドブック巻末にあるアラビア語集を開き指さしながらの会話です。
ガイドブック巻末の語彙はたかが知れており、ほとんど話は通じないのでジェスチャーと笑顔で過ごしていました。すると男性が自分の腕時計を外し、私に差し出してきます。受け取れないと返しますが、私に押し付けてきます。
そのやりとりをずっとしていたのですが、終わらないので、私も持っていた招き猫のちいさな人形を差し出し彼が受け取り、これで腕時計のやりとりは終わりました。時計なんてもらってしまっていいのかな、と気になりつつ彼は途中でバスを降りていきました。
彼は自分の住所が書かれた身分証のようなものを私に差し出して、私が向かう場所メクネスに住んでいるので遊びにおいで、というようなことを言いました。
野次馬をゾロゾロ引き連れて家を探すと…
さて、私はイスラム教徒の中にいることを忘れていました。現地の人と仲良くなった嬉しさでいっぱいでした。異性ということも大きな問題と感じていませんでした。
バスの目的地、メクネスで、身分証の住所を頼りに行ってみることにしました。旧市街の中心から少し外れ、居住区に入っていきます。
地元の人しかいないような場所を、観光客女性が一人で歩いているので目立ったのでしょう。ぞろぞろ地元の人(子供や男性)がついてきて、あっちだこっちだと道案内をしてくれます。(少し英語がわかる人がいたと思います)
行ったり来たり、探しながら該当の住所に着きました。ぞろぞろ野次馬を引き連れながらドアをたたくと・・・出てきたのは老夫婦でした。野次馬たちがこの状況を老夫婦に説明します。
老夫婦はとにかく中に入りなさいと、家の中にあげてくれました。観光客の女性が一人、ぞろぞろ地元の子供や男性を引き連れて歩く光景が異様に思えたに違いません。
ほんの片言ばかり英語が通じ、バスで知り合った男の人の身分証を見せ、住所に間違いないことを確かめました。ミントティーをごちそうになり、英語が話せる老夫婦の娘さんと電話で通話させてくれました。
バスで隣になった男の人について「ここの前の住人だ、悪い人だ」と言ったのです。何を思って住所を渡してきたのか、もし正しい彼の家にたどり着き一人で入ってしまったらどうなっていたのでしょう。
帰り道、当人に出くわし激昂
暗くなってきて危ないのでご主人が宿まで送ってくれることになりました。しかしその帰り道、彼に出くわしたのです!
私を見た途端、声を大にして何か言い始めました。私を引っ張っていこうとします。抵抗すると私が渡した招き猫を出し激しく何か言っています。
私は必死で腕時計を彼に押し返しました。ご主人が追い払ってくれましたが、宿までついてきている気がして怖くてたまりませんでした。宿のスタッフにご主人は事情を説明し安全に守ってくれるよう話してくれたようでした。
同じ宿に旅仲間の日本人男性いたので、次の日からは単独行動は避け一緒に行動させてもらいました。昨日の老夫婦のところにお礼に行こうと思い、男性に一緒に行ってもらいました。
すると老夫婦はちょっとあきれた顔で私をみました。このイスラムの地では、異性と遊び歩く女とみられたのかもしれないと思いました。
まとめ
文化も宗教も違う外国の地では、何気なくしているつもりでも、やり取りには気をつけなければならないと反省しました。日本にいる感覚では隣の席に居合わせた人と楽しくお話しできたということが、文化の全く異なるモロッコ人にしてみればそれ以上の事だったのかもしれません。
現地の人と仲良くなりたいものの気を許しすぎては危険もあると感じた出来事でした。